2012年10月25日木曜日

次回のテーマはマインドフルネス療法です。


次回のご案内です。


●日時:2012年12月10日(月)18時半~
●場所:聖路加看護大学506
●報告者:孫大輔(東京大学)
●テーマ:マインドフルネス療法に関する文献紹介

今回は、第三世代の認知行動療法とも言われる「マインドフルネス認知療法」に
ついての文献を紹介します。日本の禅や瞑想などをもとに、1991年にシーガルら
により開発されたマインドフルネス認知療法は、ランダム化試験でうつ病患者に
対しての再発予防効果などが認めらているそうです。

2012年10月7日日曜日

Optimism再び

2012年10月4日(木)の発表は、次の文献について戸ヶ里さんからの報告でした。

Carver CS, Scheier MF, Segerstrom SC. Optimism. Clinical Psychology Review, Volume 30, Issue 7, 2010, Pages 879-889

報告資料(ppt)

この会ではずいぶん前に、Optimism=楽観主義について取り上げましたが、かなり時間が経っていいて、メンバーも新しくなっています。最近のレビュー文献の紹介ということもあり、大変有意義な議論の時間を持てました。

そのときも、楽観主義そのものの価値=それがもろ手を挙げていいことなのか、逆境や困難にあっても、人によってはそれに目をつぶり、いいことばかりしか起こらないと思うことはおめでたすぎないかという議論をしたのでした。本人さえそれでいいと思えばそれでいいのかということです。

今回、楽観主義についての議論での1つの結論は、定義と測定とその実用性においてまだ十分ではないのではないかということです。楽観主義が、期待価値理論をもとに、価値=いいことが、期待=起こりやすいという信念を持つことと定義されるとありました。ごくシンプルであり、そのように思えていることを、最もよく使われているというLOT(Life Orientation Test)では、それをそのまま聞いているだけです。

それに対して、セリグマンの、いいこととわるいことがどうして起こるのかというその原因を考える測定方法のほうが内容的にはより具体的です。しかし、セリグマンの尺度も、パーティのホストやダンスの誘いの経験などの項目を見ると、その内容妥当性に疑問を感じる点もあります。

そして、何よりも、わるいことをそれと認めつついいこともあると見直す、Sense of coherenceやposttraumatic growthのような、両価値的で、それをもとにした成長の概念を含んでいなくていいのかということです。

それに関連して、すでに議論があるという楽観性と悲観性が1次元で対極にあるのか、2次元で独立性があるのかについてもっと理解する必要があるでしょう。ずいぶん前の報告では、2次元性を支持する論文の紹介だったように思い出されました(記憶は不確かです)。逆境における問題を受け止め、その上で意味を見出すという力を捉えきれていないということです。ポジティブ感情とネガティブ感情は独立して併存できることに意味があるという研究も並行して進んでいます。やはり2次元性を前提に、それを巧みに柔軟にいかす力の測定を目指すべきではないかということです。たまたま、LOTについて検索して見つけた、防衛的悲観主義などの論文がそれに近いのかもしれません(ちらっとしか見てません)。

やはり、この会で、これまで見てきたSOCやPTGとの関係がわかるような、それらの理解がさらに進むような定義に基づくキレのある尺度がつくれるかどうかだと思います。よりダイナミックな、人間の成長と限界を把握できるようなものです。

私自身は、ポジティブ感情とネガティブ感情が並存できることこそ、人間の強さであり、それも人間の助け合い、社会的信頼によるのだという仮説を支持したいと思いましたし、それを検証したいという思いが強くなりました。

また、このPP会では、単にポジティブ心理学について知るだけでなく、保健医療領域でそれを活用できないかということを常に問題意識として持っています。したがって、楽観主義も、それを測定することが、健康問題の予測に使えるかどうか、そうであれば、プログラムなどを開発すれば変えられるかということが興味関心となります。介入研究もすでにあるようですが、LOTを尺度としているとすれば、やや疑問も残るので、これからという感じです。なぜなら、病気や障害を持つ人にただ、いいことばかりがこれから起こると思ってもらうことでいいのかと単純に思うからです。

参加者の方、コメントありましたらお願いします。

2012年10月4日木曜日

次回のPP会は本日18:30~

日時:2012年10月4日(木)18時半~

●場所:聖路加看護大学506 

●内容:
 報告者 戸ヶ里泰典(放送大)
 文献 Carver CS, Scheier MF, Segerstrom SC.  Optimism. Clinical Psychology Review, Volume 30, Issue 7, 2010, Pages 879-889

2012年6月5日火曜日

次回7月のPP会

●日時:2012年7月30 日(月)18時半~
●場所:聖路加看護大学 506
●発表担当者:竹内様
  「働き盛り、子育て世代のがん患者家族への支援に関する研究」

2012年6月1日金曜日

次回PP会(6月)のお知らせ

●日時:2012年6月4日(月)18時半~
●場所:聖路加看護大学506
●発表者:包國様(聖路加国際病院)
  「こころの健康テストの作成」

4月27日のPP会

日時:2012年4月27日(金)
●場所:聖路加看護大学506

プロアクティブコーピングについて

Ⅰ.ポジティブ心理学とは
Ⅱ.プロアクティブコーピングとは?
Ⅲ.プロアクティブコーピング尺度(日本語版)紹介
Ⅳ.実際の論文の利用状況
Ⅴ.臨床応用の現状

詳細は、追って掲載させていただきます。




2012年3月27日火曜日

次回PP会(4月)のお知らせ

●日時:2011年4月27日(金)18時半~

●場所:聖路加看護大学506

●発表者:中留様(聖路加)


     proactive copingに関する文献紹介(仮)

3月19日のPP会

Mindfulness-Based Stress Reduction (MBSR)の根底にあるプロセスを明らかにする、
という目的で行われた研究

◆今回の文献の新しいところ

重要なポイントがはっきりしない、という議論の中で以下のような意見が出ました

・マインドフルネスの効果はこれまでにある程度検証されているのでは?この文献はプロセス評価と思われる

・プログラムで提示された訓練の実行頻度や時間と、効果との関係を見ている点が新しいのではないか(ただし結果としてはあまり関連が見られていない)

◆マインドフルネスについての補足

・とても東洋的なもので、瞑想やヨガの効果に関するエビデンスを検討する際、マインドフルネスが指標の1つとして用いられている

◆MBSRプログラムや評価方法について
・リクルート方法から考えると、MBSRはそもそも興味のある人が受けている
・こうしたプログラムは向き不向きがある(だから「興味がある人が受ける」というスタイルでも良さそう)
・評価のレンジが狭い
・認知療法は修正を求めるため、うまくいかないと悩んでしまうこともあるが、MBSRではうまくいかない自分に気づくことも大切で、自分を肯定できるのではないか




配布資料

2012年2月27日月曜日

2月20日のPP会

研究計画書の発表

「心臓血管手術患者における術前のストレス対処力と術後せん妄との関連分析」

●発表者:村田洋章(慈恵医大)

 せん妄発症とSOCが関連しているのか?せん妄に対して看護職がもっと効果的に介入できるのではないか?という問題意識から、研究計画を発表していただきました。
 SOCを測定することでどのような活用が見込まれるのかについての議論があり、今すぐに実践に役立つということ以上に、学術的な価値が高い研究ではないかとの関心が集まりました。また、せん妄がその後の死亡率を予測するというデータが示されたことを受け、SOCとの関係がキーになるのではないかとの意見も出ました。
  さらに、せん妄をどのように理解するのかについても検討の余地があるのでは?という議論がありました。せん妄の評価は研究によって一貫していない現状があるようです。せん妄を広くとらえて調査を行うことで看護職が介入できる範囲が広がるという立場の研究もある、といった情報提供がありました。 せん妄の原因には生理学的な部分もたくさんありますが、せん妄を起こさない環境を作ること、早期に発見すること、せん妄が起こったとしてもその後それを意味づけていく支援をすること、せん妄の経験から何かを得られるような支援をしていくことなど、看護職が介入できる可能性がたくさんあると感じました。

2012年2月9日木曜日

次回PP会のお知らせ



「心臓血管手術患者における術前のストレス対処力と術後せん妄との関連分析」
研究計画書の検討

●内容:村田洋章(慈恵医大)
●日時:2012年2月20日(月)18時半~
●場所:聖路加看護大学506


2012年1月23日月曜日

SalutegenesisとHP2.0。ヘルスプロモーションも2.0。

2012年1月23日(月)の内容

●場所:聖路加看護大学506
●内容:文献紹介(横山由香里)

Healthy ageing in a salutogenic way: building the HP 2.0 framework

Health & Social Care in the Community
Volume 19, Issue 1, January 2011, Pages: 43–51,
Jeanette Lezwijn, Lenneke Vaandrager, Jenneken Naaldenberg, Annemarie Wagemakers, Maria Koelen and Cees Van Woerkum


・オランダでの試みについて紹介された文献

・高齢者のHealthy agingを推進するためには、高齢者自身の参加を促す

・論文タイトルのHP2.0 frameworkには、おそらくHealth promotionをweb2.0のように双方向性をもって推進するという意図が込められているのではないかと思われる(実際の場でwebが使われているかについては読み取れない)

・こうした活動を通じて、住民が「こういう資源がある」と認知することができるのと、Sense of coherence(SOC)のようなストレス対処力が上がっていく効果も期待できるのでは?

・SOCと健康資源と健康の3つについて、常にその関係とともに注目する。健康資源とはSOCの汎抵抗資源とほとんど同じだが、将来への準備、予防も含む。

・高齢者の多様なニーズに合わせた資源形成は難しいが、高齢者のSOCをモニタリングすることで資源不足が検討できる。



配布資料