2014年12月4日木曜日

Benefit-Finding and Growth」「Making Sense of Loss, Perceiving Benefits, and Posttraumatic Growth」

日時:2014年12月4日(木)18時30分~
場所:聖路加国際大学5階
テーマ:Benefit-Finding and Growth
担当:聖路加国際大学修士課程 麓さん

麓さんは助産師のPTSDのご研究をされています。
前回9月の担当に引き続き、担当してくれました。


内容

The Oxford Handbook of Positive Psychology(2 ed.)の中の
Chapter 60「Benefit-Finding and Growth」および
Chapter 61「Making Sense of Loss, Perceiving Benefits, and Posttraumatic Growth」
の内容をまとめ発表してくれました。


ディスカッションでは以下の点について取り上げました。

・逆境の生じ方の違いによるFinding BenefitおよびPosttraumatic Growthの起こり方の違いはどうあるのか

  例として提示されていた2つの研究「がんの末期で大切な人を失った家族の研究」と
  「鉱山爆発事件で大切な人を失った家族の研究」を比較しながら話し合いました。

  連続性の中で生じる逆境と、突発的に生じる逆境での大きな違いではないか?とう意見も出ました。

・Posttraumatic Growthはどこまで正確に測定できるのか
  PTGは、何らかの逆境を経験した後に認識される成長を測るのですが
  それが本当に逆境を経験したからこそ生じた成長と言えるのか、どこまで正確に測れるのか?
  逆境を経験していない段階での測定との比較が難しいので限界があるのではないか?
  正確に測定できなければ介入の効果を検証できないのではないか?

書籍に登場する研究には、がん患者および乳がん患者を対象とした研究も多く大変興味深い内容でした。

介入を考えていく上でも重要な要素となりうるFinding BenefitやPosttraumatic Growthについて
さらに概念の違いや測定尺度について理解を深めていきたいと思いました。

次回のテーマは「ヘルスリテラシーとSOCの関連について」です。

(記録:大坂和可子)

2014年9月24日水曜日

助産師の職務上でのPTSDとポストトラウマティックグロウス、レジリエンス

本日の報告は次の通りでした。

開催日:2014年9月24日(水曜日)18時30分~
場所:聖路加国際大学 5階506
テーマ:助産師の職務上でのPTSDとポストトラウマティックグロウス、レジリエンス
担当:聖路加国際大学修士課程 麓さん

助産師の仕事は生死にかかわる場面に出会うこともあり
そのような出来事をトラウマと捉え調査した結果の報告でした。


過去のつらい経験を自由記述で回答してもらっていて、
その分析だけでも大きな仕事だと思われました。


ポストトラウマティックグロウス(PTG)とレジリエンスが類似した概念なので
これらの関連をみつつ、これらを目的変数として、経験年数などのキャリアや、
当時受けたサポートとの関連をつぶさに分析するとよいでしょう
という議論がありました。


次回は、同じく麓さんに
  • Benefit-Finding and Growth

  • についてレポートしてもらう予定です。
    日程が決まりましたら報告します。

2014年7月28日月曜日

看護師のレジリエンス

本日は次の内容でした。

場所:聖路加国際大学看護学部
担当:砂見緩子さん(聖路加国際大学博士後期課程3年)
テーマ:「レジリエンス ~概念の理解,看護への適用」
レジリエンスの概念と尺度の多様性、看護の現状とそれへのレジリエンスの応用について
あらためて考えさせられる楽しい議論でした。

発表内容
・レジリエンスの定義や予測因子、保護因子
・心の折れやすい人と折れにくい人の違い
・看護師のレジリエンスの調査結果(砂見さんのご研究)
 調査は4年目以上の看護師対象の調査と3年目以内の看護師の調査についての結果や、今年実施した看護師対象のインタビュー調査についてお話いただきました。

ディスカッション内容
・自尊感情とレジリエンスの関係性について
 レジリエンスの中に含まれるものなのか?含まれないものなのか?
・レジリエンスの測定尺度の信頼性・妥当性について
 Grotberg(1995)によるRC(Resilience Checklist)3因子(I have External Supports, I am Inner Strength, I can interpersonal and Problem-Solving Skills)21項目
・看護師のレジリエンスの調査の分析結果について
・研究におけるレジリエンスの定義について
・レジリエンスは後から獲得できるものか?特性か?
・看護師のレジリエンスとはどういうところを指すのか?(対象特性を踏まえ)
・看護師のレジリエンスを促進することでどんなアウトカムにつながるのか?
など

 実際に砂見さんが行った研究結果もご提示いただいたので概念の理解だけでなく、測定尺度やおよび分析についてなどなど幅広く学ぶことができました。

ご出席の皆様お疲れ様でした!

次回のPPの会は、9月または10月を予定しております。

(記録 大坂和可子)

2014年5月19日月曜日

首尾一貫感覚(Sence of Coherence) に関する心理学的研究

本日のPPの会は以下の通り開催されました。
14名の方にご参加いただきました。

日時:2014年5月19日月曜日18時30分~
場所:聖路加看護大学5階(予定)
担当:藤里紘子さん(筑波大学)
テーマ:首尾一貫感覚(Sence of Coherence)
     に関する心理学的研究
内容
藤里さんが博士論文として取り組んだSOCの研究について
ご発表いただきました。
SOCとハーディネスの異同の検討、日常生活における機能、精神的健康への影響について、大学生や大学院生を対象とした調査結果を分析した結果などについてご発表いただきました。

ディスカッションでは
・SOCとハーディネスの違いをどう捉えるか?
・SOCから成長に至るプロセスはどのようになっているのか?
・どんな介入をしたらSOCが向上するのか?
・SOCの向上=成長と捉えることができるのではないか?
・成長とはどのような定義で捉えられるか?
・SOCを向上するには、動員できる資源に気づくことが大切ではないか?
 (どんな人たちが自分を支えてくれているか、力を借りられそうかを意識できることが大切では?)
などなどが話し合われました。
SOCの理解が深まるディスカッションでした。

また、共分散構造分析の結果を提示していただき
結果の解釈の仕方について、下位尺度による分析の追加について
などアドバイスもあり、私自身も大変勉強になりました。



ご参加の皆様ありがとうございました。


                                          (記録 大坂和可子)

2014年3月17日月曜日

コントロール感覚(sense of control)を持つ能力

本日は戸ヶ里泰典さんからテーマ:"personal control and mastery"で報告がありました。

Perceived controlとは、困難な環境の中でmeaningful lifeを見つけるための能力で、適応機能だけでなく、 コントロール感覚を維持するための能力です。

報告の資料はこちらです。

2014年3月13日木曜日

次回の報告です。

次回のPP会は次の予定です。
参加をお待ちしています。

日時:2014年3月17日月曜日18時30分~
場所:聖路加看護大学5階506
担当:戸ヶ里泰典さん

テーマ:"personal control and mastery"

紹介文献(以下から所々抜粋で報告する予定です)

Zarit, S.H., Pearlin, L.I., Schaie ,K.W. (2003). Personal control in social and life course context. New York: Springer

Aneshensel, C.S., Phelan, J.C., Bierman, A. (2013). Handbook of the Sociology of Mental Health 2nd ed. New York: Springer

Avison, W.R., Aneshensel, C.S., Schieman, S., Wheaton, B. (2010). Advances in the conceptualization of the stress process. New York: Springer

2014年1月31日金曜日

近年のフロー研究の歴史的系譜と外観

本日の報告は、清和大学の谷木龍男さんから「近年のフロー研究の歴史的系譜と外観」というテーマで行われました。

フローとは、人が内省的な自己意識を伴わず、深い統制感を持って、ある活動に完全に没入している時の状態。最適体験。


フローの理解を深めるディスカッションやフローをどう測定するのか、
測定の限界はどんなところにあるのか今後の研究の可能性についてなど
さまざまなディスカッションができ大変有意義な時間でした。