2018年12月28日金曜日

12/10 PPの会の開催報告

12月10日(月)に行われたPP会の開催報告です。
参加者は9名でした。

2018年12月10日(月) 18:30~20:30
テーマ:「地域在住脳卒中患者の作業へ対するSOCの機能とその生成過程のプロセス」
担当:三村啓人(筑波大学大学院博士前期課程 作業療法士)

・今回のPP会では、三村さんの修士論文の研究計画「地域在住脳卒中患者の作業へ対する
 SOCの機能とその生成過程のプロセス」についてディスカッションを行いました。
・作業療法における作業とは、「日常生活活動、家事、仕事、趣味、遊び、対人交流、
 休憩など、人が営む生活行為と、それを行うのに必要な心身の活動が含まれる。また、
 個別的な目的や価値が含まれるもの」とされ、かつて作業療法は細かい作業に着目され
 ていましたが、本来の作業は生活全体を見るものであり、「対象者の自己に対する理解
 と人生に関わる新たな自分を再構築する」もの。研究計画では、作業にはSOCに通じる
 点がある点に着目していました。
・日常生活の様々な作業(旅行、釣り、水泳、テニス、入浴、移乗等)が描かれた95枚の
 イラストから、諦めていた生き方を再確認しゴールに設定する(意思決定)ツール
 として、ADOCが紹介されました。作業療法は、一つ一つの機能をただ取り戻す作業
 には限定されず、新たな人生を見出し再構築する、健康生成論の観点が多く含まれて
 いることがポイントになっていました。
・今回のディスカッションでは、研究計画において明確にすべき点が明らかになっただけ
 でなく、様々な研究の方向性が考えられること、方向性に対してどの様にアプローチを
 したらよいのか等、幅広い内容について意見交換が行われました。研究が形になってい
 く過程を垣間見ることができ、大変勉強になりました。

さて次回も、今回ご参加いただいた方にご発表いただきます。
日程:2019年2月4日(月)18:30~20:30
場所:聖路加国際大学 本館506教室
プレゼンター:石井恵美子さん(順天堂大学大学院医療看護研究科博士前期課程)
タイトル:
「異文化を内在化する中国帰国者と中国人配偶者のSOCとその関連要因を明らかにする」

新年最初のPPの会になりますので、皆さまぜひご参加ください!

文責:萩原加奈子



2018年11月12日月曜日

11/1 PPの会の開催報告

11月1日(木)に行われたPP会の開催報告です。
参加者は10名でした。

2018年11月1日(木) 18:30~20:30
テーマ:「『困難を乗り越える力』を持った看護職になる」
    (日本看護協会機関誌10月号の特集)
担当:1.戸ヶ里泰典先生(放送大学)
     「困難に向き合い対処する力」を知る
     「SOC」「レジリエンス」「楽観性」「制御感」「ハーディネス」
   2.中山和弘先生(聖路加国際大学)
     健康資源の気づき方、見つけ方、生かし方
     ”つながり”の持つ効果

・戸ヶ里先生からは、困難に向き合い対処する力として、
 SOC、レジリエンス、楽観性、制御性、ハーディネスを説明いただき、
 それらの共通点、および高め方についてお話しいただきました。
・SOCの3要素の考え方をどのように捉えていくか、という点については、
 関連し合い、相関は高いが、それぞれが独立したものではなく、
 3要素違うように機能するものであり、また、一つの人生経験に対する異なる
 切り口・見方であるというお話がありました。
・また、SOCの共通点については、ラザルスのストレス対処評価モデルと対比した
 ディスカッションが行われました。
・具体的なレベルで、これらの対処する力の理解を深め、
 個々の資源とリンクさせながら、自分に合った対処法を見出していくことが
 大切になりそうです。
・次に、中山先生からは、健康資源の気づき方、見つけ方、生かし方として、
 内外の資源へ気づくこと、ソーシャルメディアの活用、対話の場の活用について
 お話しいただきました。
・欧米の看護協会では、ソーシャルメディアの利用方法について注意点が
 発信されるほど、SNSを情報源としてだけでなく、学習の場として、
 活用されています。
 新聞やテレビの情報は、伝え手の考え方で決められた一方向の情報であり、
 必ずしも正しい情報とは限りません。
 自分自身が、そして患者さん自身が利用しやすいメディアを見出し、
 活用していくことが大切になりそうです。

さて、次回は、今回初参加してくださった方にご発表いただきます。
日程:2018年12月10日(月)18:30~20:30
場所:聖路加国際大学 本館506教室
プレゼンター:三村啓人さん(作業療法士 筑波大学大学院)
タイトル:「脳卒中者のSOCとリハビリテーション意欲に関する研究(仮)」

今年最後のPPの会になりますので、皆さま是非ご参加ください!



文責:萩原加奈子



2018年7月11日水曜日

7/4 PPの会の開催報告

7月4日に行われたPP会の開催報告です。
参加者は4名でした。
2018年7月4日(水)18:30~20:30
プレゼンター:萩原加奈子(聖路加国際大学大学院)
テーマ:Helena L, Anna-Maija P, Soili HH, and Mari kangasniemi.
              A systematic review of adolescents' sense of coherence and health, 
              Scandinavian Journal of Caring Sciences. 2017. 31(4). 651-661

・本文献は、思春期のSense of Coherenceと健康の関連について、
 23文献をシステマティックレビューしていました。
・SOCの測定には、13項目版が最も多く使われていましたが、その他、
 29項目版、9項目版が使われていました。
・SOCと関連する健康としては、生活満足度などを含むQOL、
 身体的活動、飲酒、喫煙などの健康行動、抑うつ状態や不安状態等の
 メンタルヘルス、親のSOCや親のサポートなどの家族関係についてが
 挙げられていました。
・多くの研究が横断研究だったため、今後はSOCと健康・健康行動の関連について、
 縦断研究が求められると述べられていました。
・ディスカッションでは、青少年は大人と異なり、どのように健康を捉えているのか、
 それによりSOCと関連する「健康」が異なるのではないかという話題が出ました。
 症状に対する知識がないと、その症状が表現している状態がわからないため、
 的確に「健康」という状態を表現できない可能性があるためです。
 思春期の頃、皆さんは健康をどのように捉えていましたか?

さて、次回は9月頃を予定していますが、次回のプレゼンターを募集します!!
皆様、どうぞご検討いただければと思います。

 
 

2018年4月20日金曜日

3/30 PP会の開催報告

ご報告が遅くなってしまいましたが、
3月30日に行われたPP会の開催報告です。
参加者は5名でした。

2018年3月30日(金)18:30~20:30
プレゼンター:戸ヶ里泰典先生(放送大学)
テーマ:「ウェルビーイングの設計論」(https://goo.gl/KL5REg)
    第10章 思いやりと利他行動

・思いやりcompassion
 ジェニファー・ゴエツらの定義
 「他者の来る霜を目の当たりにした際に生じる感情で、
  助けたいという欲求を引き起こすもの」
 愛情とは違い「苦しみを目の当たりにした結果生じるもの」
 共感とは違い「目の前の相手の状態がミラーリングされて生じる感情ではない」
・思いやりと利他性の研究
 思いやりは共感と利他行動の媒介変数(p.300 図10-1引用)
  
・利他性とウェルビーイング
 他者のためにかける金額と個人的well-beingとの間に
 収入、文化にかかわらず強い相関がある
 (136か国の研究で、慈善団体への寄付が家計所得が倍になるのと同じくらい
  幸福感を高める効果をもっていた)
・思いやりは手段なのか?目的なのか?
 本来は思いやりを受けた人がHappyになるもの…
・思いやりをはぐくむ介入策は瞑想がメイン
・進化的感情評価に関する理論によると、思いやりが生じる可能性が高まるのは、
 以下の条件:関連性/類似性、目標の一致/公平さ、対処できるという自信/能力
・他の人の思いやりを目の当たりにすること、自分自身の行動を省みるための
 手助けをすることは、思いやりや利他性をはぐくむ効果的方法
・Self-Compassion
 感情疲労の仕事をしている人(看護師、警察官等)への教育場面で活用されている
 マインドフルネスなど仏教の考えに基づく

次回は、6月下旬頃を予定しています。
詳細が決まりましたら、こちらにアップします。
 


2018年2月6日火曜日

1/29 PP会の開催報告

1月のPP会の開催報告です。
今年最初のPP会で、参加者は5名でした。

2018年1月29日(月)18:30~20:30
プレゼンター:谷木龍男先生(清和大学)
テーマ:「ウェルビーイングの設計論」(https://goo.gl/KL5REg)
    第11章 警告、考慮すべきこと、そしてその先にあるもの
    (予定を変更して行いました) 

・人間は、複雑で変わりやすく、多種多様。設計者や開発者が一般化し、
 モデルを作ろうとしても、結果害を生むことがある。
・テクノロジーが、私たちの個人的な通信を合法的に商業目的で利用しており、
 フリーサービスは、「無料」であって「自由」ではない。
・テクノロジーによる介助は、私たちの自律性をサポートすることと、
 弱らせることの両方ができる。
・自動化することによる社会的影響や経済的影響について考慮し、
 ポジティブな効果を無効化しないよう注意が必要。
 ウェルビーイングの生態系への影響も考慮する必要があり、
 全体論的視野を取り入れる。
・自律性。テクノロジーによって探す手間は省けたとしても、
 探し判断する能力、自分の生活の意思決定力は必要。

次回は、今回実施できなかった章を予定しています。
日程:2018年3月30日(金)18:30~20:30
担当:戸ヶ里泰典先生(放送大学)
テーマ:「ウェルビーイングの設計論」(https://goo.gl/KL5REg)
    第10章 思いやりと利他行動