2011年11月14日月曜日

母親役割への適応を促す介入プログラムの効果

2011年11月14日の内容

●場所:聖路加看護大学 506教室
●内容:文献紹介 米倉佑貴(東大社研) 

Schachman KA, Lee RK, Lederman RR. Baby boot camp - Facilitatingmaternal role adaptation among military wives. NursingResearch.53(2):107-115, 2004.


配布資料

概念モデルはレジリエンスモデル。個人の内外の保護因子、脆弱性因子がレジリエンスに影響し、適応不適応を決定する。適応は保護因子、不適応は脆弱性因子に影響し、またレジリエンスへ。

保護因子のうちの内的資源は自尊心、知識、自己効力感、外的資源は周囲の人、地域からのサポート。介入によって強化するのは、内的資源:小グループでのグループワーク、話し合い、外的資源:参加者のサポートネットワークへの気づきと拡張を支援。

2011年9月26日月曜日

ロシアのベスラン学校占拠事件で生き残った子供達のケアギバーによるナラティブの論文,


2011年9月26日(月)の内容

●場所:聖路加看護大学 506教室
●内容:文献紹介(横山由香里)

Narratives from caregivers of children surviving the terrorist attack in Beslan: Issues of health, culture, and resilience

著者名: Moscardino, U; Axia, G ; Scrimin, S; Capello, F
ジャーナル名: SOCIAL SCIENCE & MEDICINE
巻: 64 号:
8 ページ: 1776-1787
発行: APR 2007

配布資料

2011年7月22日金曜日

感謝がポジティブリフレイミングを経てSOCへ与える影響、アジアでの津波へのコーピングの2論文

2011年7月22日(金)の報告は次の2つでした。


1つ目
A changed perspective: How gratitude can affect  sense of coherence through positive reframing,  The Journal of Positive Psychology, Vol. 4, No. 6, November 2009, 461–470 Lambert NM, et al. 

担当:戸ヶ里泰典(放送大学) 資料(pdf)




Journal of Positive Psychologyという雑誌ができていた。


 gratitude感謝→positive reframing→sense of coherence
という経路を検証しようとした論文。


これら3つは、SOCの有意味感と共通する部分が多いが、SOCのその下位尺度での分析はない。


感謝は、既存の6項目尺度で、人生や人々に感謝している態度を測定していて、
その定義と開発過程が気になるところ


positive reframingはベネフィットファインディングと同内容で、
オリジナルの4項目。困難や問題をポジティブにとらえなおせるかどうかを問う。




これらは同じような3つの現象を切り口を変えて捉えているのか、
因果の流れとして考えているのか。

感謝もソーシャルキャピタルのような社会文化的資源としてとらえているのか、
個人的な認知を変える手段としての態度・行動ととらえているのか。
資源を常に認知しておくという規範的な行動として考えれば、その両方か。

何にでも感謝するということが文化的にあれば、それはすでにpositive reframing
という内容を含んでいる可能性も。
さらに、SOCは個人と環境(周囲の人々)への信頼ととらえられるので、
資源への認知とすればやはりSOCを感謝と捉えなおしただけではないか。
SOCの形成要因と考える方法もある。

介入にどのように生かせばよいか。
むやみに感謝すればよいということでは、自己啓発セミナーのようになる可能性も。


やはり感謝の概念の分析が課題。
Handbook of Positive Psychology が引用されているので要チェック。






2つ目Coping with the Asian tsunami: Perspectives from Tamil Nadu, India on the determinants of resilience in the face of adversity.  Social Science & Medicine, Volume 67, Issue 5, Pages 844-853 A Rajkumar, T Premkumar, P Tharyan
担当:横山由香里(東京大学) 資料(pdf)



インドでの津波の被災者を対象とした質的研究


災害後の精神疾患の罹患率が先進国よりも低いという。
そのコーピングのメカニズムには、個人、社会、spiritualな戦略の3つがある。


個人では、アメリカ(9.11)とは違い生活に多くの期待をしていない、生きるように神に選ばれた、村を再建し未来を変えていく特別な責務がある、漁師は常に勇敢であれという教えへの感謝など。


社会では、コミュニティでの一体感、いさかいも減った、ある村では虐待など問題回避のためアルコールの規制、故人を偲んで頻繁に集まる、コミュニティリーダーが男性に再婚をすすめる、プライバシー侵害よりもつながりが優先。


スピルチュアルでは、津波は挑戦、神こそ私たちが生きる最も重要な理由。


津波後の社会的変化には、
カースト制度の変化、同じように財産を失い同じ避難所で暮らす。
ジェンダーによる不平等の変化、女性が仕事を得て収入増。


西洋との違い。災害における文化的視点の重要性。




=次回==================
●日時:2011年9月26日(月)18時半~
●場所:聖路加看護大学 506教室