2015年7月30日木曜日

Inner strength

日時:2015年7月30日(木)18時30分~

場所:聖路加国際大学5階506

放送大学戸ヶ里先生による論文 Inner strength — A theoretical analysis of salutogenic concepts. Int J of Nursing Studies (2010) の紹介でした。

resilience, sense of coherence, purpose in life, self‐transcendence, hardinesという5つの概念のコアにあるInner strengthのディメンジョンを探るというもの。5つの概念のQuestions, paradigmsとassumptions, 概念のattributes,それらが高い人が持つ特徴から、それらのコアには4つのディメンジョンConnectedness, Creativity, Firmness, Flexibilityがあるとした。


ディスカッションでは、次のような話が出ました。

4つのディメンジョンが導かれた根拠が、明確でない部分が気になった。例えば、Connectednessはsense of coherencのcomprehensiveness(把握可能性)ととても近いとしているが、看護へのImplicationのなかでConnectednessは患者の家族や友人とのつながりとなっていて、論理的な一貫性に疑問が見られた。

5つの概念から4つのコアを見つけたとあるが、概念の範囲としては拡大している感じがした。とくに、従来、self‐transcendenceがresilience, sense of coherenceと近いものとして語られることがほとんどなかったので、この概念を強く含んだInner strengthを強調したいという当初からの意図が感じられた。

論文には限界としてself-efficacyやstressとの関連を見ていないことが挙げられていたが、それはかなり重要な問題に思えた。stress copingとくにpositive copingやresourceの理論、またRyffのwell-being、masteryとの関連が記述されていない点で不全感が残るものであった。

ポジティブ心理学では、Human strengthという言葉は使うが、Inner strengthという概念はそれとイコールなのか、Innerの持つ意味が気になった。