2014年7月28日月曜日

看護師のレジリエンス

本日は次の内容でした。

場所:聖路加国際大学看護学部
担当:砂見緩子さん(聖路加国際大学博士後期課程3年)
テーマ:「レジリエンス ~概念の理解,看護への適用」
レジリエンスの概念と尺度の多様性、看護の現状とそれへのレジリエンスの応用について
あらためて考えさせられる楽しい議論でした。

発表内容
・レジリエンスの定義や予測因子、保護因子
・心の折れやすい人と折れにくい人の違い
・看護師のレジリエンスの調査結果(砂見さんのご研究)
 調査は4年目以上の看護師対象の調査と3年目以内の看護師の調査についての結果や、今年実施した看護師対象のインタビュー調査についてお話いただきました。

ディスカッション内容
・自尊感情とレジリエンスの関係性について
 レジリエンスの中に含まれるものなのか?含まれないものなのか?
・レジリエンスの測定尺度の信頼性・妥当性について
 Grotberg(1995)によるRC(Resilience Checklist)3因子(I have External Supports, I am Inner Strength, I can interpersonal and Problem-Solving Skills)21項目
・看護師のレジリエンスの調査の分析結果について
・研究におけるレジリエンスの定義について
・レジリエンスは後から獲得できるものか?特性か?
・看護師のレジリエンスとはどういうところを指すのか?(対象特性を踏まえ)
・看護師のレジリエンスを促進することでどんなアウトカムにつながるのか?
など

 実際に砂見さんが行った研究結果もご提示いただいたので概念の理解だけでなく、測定尺度やおよび分析についてなどなど幅広く学ぶことができました。

ご出席の皆様お疲れ様でした!

次回のPPの会は、9月または10月を予定しております。

(記録 大坂和可子)

2014年5月19日月曜日

首尾一貫感覚(Sence of Coherence) に関する心理学的研究

本日のPPの会は以下の通り開催されました。
14名の方にご参加いただきました。

日時:2014年5月19日月曜日18時30分~
場所:聖路加看護大学5階(予定)
担当:藤里紘子さん(筑波大学)
テーマ:首尾一貫感覚(Sence of Coherence)
     に関する心理学的研究
内容
藤里さんが博士論文として取り組んだSOCの研究について
ご発表いただきました。
SOCとハーディネスの異同の検討、日常生活における機能、精神的健康への影響について、大学生や大学院生を対象とした調査結果を分析した結果などについてご発表いただきました。

ディスカッションでは
・SOCとハーディネスの違いをどう捉えるか?
・SOCから成長に至るプロセスはどのようになっているのか?
・どんな介入をしたらSOCが向上するのか?
・SOCの向上=成長と捉えることができるのではないか?
・成長とはどのような定義で捉えられるか?
・SOCを向上するには、動員できる資源に気づくことが大切ではないか?
 (どんな人たちが自分を支えてくれているか、力を借りられそうかを意識できることが大切では?)
などなどが話し合われました。
SOCの理解が深まるディスカッションでした。

また、共分散構造分析の結果を提示していただき
結果の解釈の仕方について、下位尺度による分析の追加について
などアドバイスもあり、私自身も大変勉強になりました。



ご参加の皆様ありがとうございました。


                                          (記録 大坂和可子)

2014年3月17日月曜日

コントロール感覚(sense of control)を持つ能力

本日は戸ヶ里泰典さんからテーマ:"personal control and mastery"で報告がありました。

Perceived controlとは、困難な環境の中でmeaningful lifeを見つけるための能力で、適応機能だけでなく、 コントロール感覚を維持するための能力です。

報告の資料はこちらです。

2014年3月13日木曜日

次回の報告です。

次回のPP会は次の予定です。
参加をお待ちしています。

日時:2014年3月17日月曜日18時30分~
場所:聖路加看護大学5階506
担当:戸ヶ里泰典さん

テーマ:"personal control and mastery"

紹介文献(以下から所々抜粋で報告する予定です)

Zarit, S.H., Pearlin, L.I., Schaie ,K.W. (2003). Personal control in social and life course context. New York: Springer

Aneshensel, C.S., Phelan, J.C., Bierman, A. (2013). Handbook of the Sociology of Mental Health 2nd ed. New York: Springer

Avison, W.R., Aneshensel, C.S., Schieman, S., Wheaton, B. (2010). Advances in the conceptualization of the stress process. New York: Springer

2014年1月31日金曜日

近年のフロー研究の歴史的系譜と外観

本日の報告は、清和大学の谷木龍男さんから「近年のフロー研究の歴史的系譜と外観」というテーマで行われました。

フローとは、人が内省的な自己意識を伴わず、深い統制感を持って、ある活動に完全に没入している時の状態。最適体験。


フローの理解を深めるディスカッションやフローをどう測定するのか、
測定の限界はどんなところにあるのか今後の研究の可能性についてなど
さまざまなディスカッションができ大変有意義な時間でした。



2013年10月11日金曜日

Resilience in Development

本日は、聖路加看護大学博士院生の砂見さんの報告で、HandBook of Positive Psychologyより 「Resilience in Development」p117~132でした。


報告資料はこちらです。


以下、中山のツイートから。


レジリエンスを変数の関連から見た4つの効果。riskとassetによるポジティブな適応への主効果、riskのポジティブな適応への影響に対する緩衝効果、riskとポジティブな適応の間にassetが入る媒介効果、riskを予防する効果。


変数ではなく、人に焦点を当てたモデル。リスクの高低と適応の高低の2軸で、4つのグループ。リスクが高くても適応しているレジリエント群、リスクが高く適応できない不適応群、リスクが低く適応しているcompetent/unchallenged群、リスクが低く適応も低い高い脆弱性群。


レジリエンスというのは資質や能力かと思っていたが、リスクや逆境があってもポジティブに適応していく現象、その組み合わせによるプロセスを指すもので、それがなぜ起こるのかを解明しようというもの。それがわかればハイリスクの子供でも適応できる方法が見つかるから。


これはやはりあくまで子供の発達の研究での視点で、子供たちを外から客観的に見た世界の話であった。大人のレジリエンスについては、またあらためてだなあ。



2013年7月22日月曜日

Sharing One's Story

本日のPP会では、Handbook of Positive Psychologyより「Sharing One's Story」(p573~)の紹介がありました。

問いとしては、

感情体験を書いたり話したりする利点はあるのか?
ひとに秘密を共有するように勧めるのは、精神的・心理的な健康を促進することになるのか?

があげられていました。

トラウマとなるような経験、感情を語ること、記述することのポジティブな影響について
認知的プロセスの視点や社会的プロセスの視点などから学ぶことができました。

報告資料はこちらです。



以下、中山のツイートから。

3つのプロセス。トラウマなど抑制しているものの開示の働き、記述の中のポジティブ感情単語とネガティブ感情単語といった感情カテゴリと因果をあらわす単語(because, reason)と洞察を表す単語(understand, realize)という認知的カテゴリの働き、社会的プロセス

社会的プロセスには、記述することによるソーシャルサポートの獲得、Synchrony社会的統合に妥当な言語的構成要素、感情の伝染、社会的統合を促進など。

経験を言葉に置き換えることで人は考えや感情を抑制するのをやめ、考えを組み立て、トラウマとなった経験に意味を見出し、そして社会的ネットワークに再統合する。