2019年11月5日火曜日

10/10 PPの会の開催報告

10月10日に開催されたPPの会の開催報告です。
参加者は6名でした。

10月10日(木)18:30~
場所:聖路加国際大学 本館506教室
担当:中山和弘先生(聖路加国際大学)
テーマ:文献紹介
 Carol D. Ryff., et al. 
 Culture, inequality, and health: evidence from MIDUS and MIDJA comparison. 
 Cult Brain. 2015; 3(1): 1-20.

・今回読んだ論文は、健康格差と社会的決定要因との間にある心理社会的要因について、
 なぜ社会階層が低いと健康が悪いのか、という内容についてのレビュー論文でした。
 アメリカと日本において行われた、大規模追跡調査の結果を基に、アメリカと日本の
 比較が検証されました。
・アメリカではmastery(sense of control)、psychological well-being、anger、
 maternal nurturance(養護性)、personality traits(性格特性)が挙げられていました。
 自分のことがコントロールできる感覚が高い人、ポジティブな感情を持っている人、
 怒りを表出できる人、養護者にしっかりと育てられた人であれば、低学歴・低所得
 でも健康への影響を排除できるということがわかりました。
・一方、日本においては、interdependence(relational harmony)、つまり相互依存、
 人間関係の和が挙げられていました。また、日本はネガティブな感情、ポジティブな
 感情、両方を訴える、弁証法的(dialectical)スタイルで、感情表出として中庸
 (middle way)であることが、東アジアにおける文化的な特徴として挙げられて
 いました。
・ディスカッションでは、この調査において、社会的決定要因を何として設定していた
 のかという疑問や、日本においてもmasteryは必要であることなどが話題に出ました。

次回の予定は下記となっております。
2019年12月12日(木)18:30~
場所:聖路加国際大学 本館 506教室
担当:谷木龍男先生(清和大学)
テーマ:文献紹介
 M. M. Vainio, D. Daukantaite,. Grit and Different Aspects of Well-Being: Direct and Indirect Relationships via Sense of Coherence and Authenticity. Journal of Happiness Studies. 



2019年8月16日金曜日

7/30 PPの会の開催報告

7月30日に行われたPPの会の開催報告です。
参加者は7名でした。

7月30日(火)18:30~
場所:聖路加国際大学本館 506教室
担当:戸ヶ里泰典先生(放送大学)
テーマ:文献紹介(前回の続き)
Ryff CD. Psychological Well-Being Revisited: Advances in the Science and Practice
 of Eudaimonia. Psychother Psychosom 2014; 83: 10-28.

・今回は、前回の論文の続きで、心理的ウェルビーイング(Psychological well-being)
 に関する臨床研究や介入研究、今後の課題について読みました。
・様々な介入研究の結果、well-beingと精神疾患との関連が明らかとなり、いずれも
 身体的健康、生物学的機能、神経生理学的にも効果が認められ、全般的にwell-being
 を高めることがわかりました。
・アメリカで行われているMIDUSと合わせて、日本でもMIDJA(Midlife in Japan)が
 長期的な大規模追跡調査として行われていました。
・しかし、Ryffが示した心理的ウェルビーイングの6つの主要な次元に対し、何が
 どのように関わっているか、ということまでは明らかになっていませんでした。
・今後、異なる水準(現象学、生物学、遺伝学、神経科学など)にまたがる分析が必要に
 なりそうです。

次回の予定は下記となっています。
10月10日(木)18:30~
場所:聖路加国際大学 本館506教室
担当:中山和弘先生(聖路加国際大学)
テーマ:(未定)



2019年6月26日水曜日

6/5 PPの会の開催報告

2019年6月5日(水)に行われたPPの会の開催報告です。

2019年6月5日(水) 18:30~20:30
担当:戸ヶ里泰典先生(放送大学)
テーマ:文献紹介
Ryff CD. Psychological Well-Being Revisited: Advances in the Science and Practice
 of Eudaimonia. Psychother Psychosom 2014; 83: 10-28.

・今回はRyffによって提唱された心理的ウェルビーイング(psychological well-being)についてのレビュー論文の紹介がありました.
・心理的ウェルビーイング概念の説明や心理的ウェルビーイングと性格特性, ライフイベント, 就労, 健康, 生物学的指標の関連性を検討した研究が紹介されていました.
・次回は同じ論文の続きで臨床研究や介入研究, 今後の課題などについて読む予定です.

次回の予定は下記となっております。
7月30日(火)18:30~
場所:聖路加国際大学本館 506教室
担当:戸ヶ里泰典先生(放送大学)
テーマ:文献紹介(前回の続き)
Ryff CD. Psychological Well-Being Revisited: Advances in the Science and Practice
 of Eudaimonia. Psychother Psychosom 2014; 83: 10-28.

2019年5月2日木曜日

4/9 PPの会の開催報告

4月9日(火)に行われたPPの会の開催報告です。
(ご報告が大変遅くなり、申し訳ございません。)
参加者は6名でした。

2019年4月9日(火) 18:30~20:30
テーマ:頸髄損傷者にソーシャルメディアが及ぼす心理社会的効果(影響)
    -リハビリテーション施設利用者の退所後の生活からー
担当:佐久間桃子さん(筑波大学大学院リハビリテーションコース 博士前期課程)

・今回のPPの会では、佐久間さんの修士論文の研究計画「頸髄損傷者にソーシャル
 メディアが及ぼす心理社会的効果(影響)-リハビリテーション施設利用者の退所後の
 生活からー」についてディスカッションを行いました。
・佐久間さんから、頸髄損傷者が受傷し施設退所後、どのような思いを抱いて地域で
 生活しているのか、そして支援の一つとしてピアサポートが挙げられているが、
 どのような課題を抱え、なぜソーシャルメディアに着目したのか、本研究で
 明らかにしたいことについてお話いただきました。
・ソーシャルメディアと一言で言っても、人によって活用方法と内容が幅広いことが
 指摘されました。また、過去10年の間においても、急速にメディアが変化しており、
 時代の流れと合わせて検討する必要性がありそうです。
・ディスカッションの中で、今回の研究で明らかにしたいことが明確になるにつれ、
 研究方法についても、インタビューに限らず様々な方法があることが挙げられました。
 また、ソーシャルメディアの機能については既にレビューが行われている一方で、
 本研究では、どこに新規性を置いているのか、という点についても意見交換が
 行われました。

次回の予定は下記の通りとなっております。
日程:2019年6月5日(水)(10日から変更になりました) 18:30~20:30
担当:戸ヶ里泰典先生(放送大学)
テーマ:文献紹介
  Ryff CD. Psychological Well-Being Revisited: Advances in the Science and Practice 
  of Eudaimonia. Psychother Psychosom 2014;83:10–28.
皆様のご参加をお待ちしております。




 

2019年3月6日水曜日

2/4 PPの会の開催報告

2月4日(月)に行われたPPの会の開催報告です。
参加者は7名でした。

2019年2月4日(月) 18:30~20:30
テーマ:「中国文化を内在化しつつ日本に永住帰国した中国残留日本人孤児の
     Sense of Coherence(SOC)とその関連要員を明らかにする」
担当:石井恵美子(順天堂大学大学院 医療看護学研究科 M1)

・今回のPP会では、石井さんの修士論文の研究計画「中国文化を内在化しつつ日本に永住
 帰国した中国残留日本人孤児のSense of Coherence(SOC)とその関連要員を明らかにす
 る」についてディスカッションを行いました。
・石井さんから、中国残留日本人孤児を対象とした理由、SOCに着目した理由をお話しい
 ただき、中国で残留することになってからどのようなネットワークの中で、人生経験を
 経て過ごし、その経験のうち何がSOCへ影響したのか明らかにする、研究仮説について
 お話いただきました。
・対象の方々は中国文化を内在化しつつ、日本に永住帰国した中国残留日本人孤児で、
 様々な経験を経て、葛藤を抱きながらも日本で生活しており、現在抱える健康課題に対
 しても、今後その背景に合わせた支援が求められる方たちです。対象者がどのような資
 源を動員しているのか、対象者に合わせた看護ケアを行うためにも、大切な研究となり
 そうです。
・ディスカッションでは、仮説の整理が行われ、何を今回の研究で明らかにしようとして
 いるのか、問題の明確化が行われました。また、サンプルサイズの決め方や、SOCの設
 問の回答の難しさについてどう対処を行ったらよいか等、研究の具体的な内容について
 も意見交換が行われました。

さて次回も、ご参加いただいた方にご発表いただきます。
日程:2019年4月9日(火)18:30~20:30
場所:聖路加国際大学 会場未定(わかり次第MLにてご連絡いたします)
担当:佐久間桃子さん(筑波大学大学院リハビリテーションコース 博士後期課程)
タイトル:「頸髄損傷者にソーシャルメディアが及ぼす心理社会的影響」

季節の変わり目ですが、皆様ぜひご参加ください!

文責:萩原加奈子

 

2018年12月28日金曜日

12/10 PPの会の開催報告

12月10日(月)に行われたPP会の開催報告です。
参加者は9名でした。

2018年12月10日(月) 18:30~20:30
テーマ:「地域在住脳卒中患者の作業へ対するSOCの機能とその生成過程のプロセス」
担当:三村啓人(筑波大学大学院博士前期課程 作業療法士)

・今回のPP会では、三村さんの修士論文の研究計画「地域在住脳卒中患者の作業へ対する
 SOCの機能とその生成過程のプロセス」についてディスカッションを行いました。
・作業療法における作業とは、「日常生活活動、家事、仕事、趣味、遊び、対人交流、
 休憩など、人が営む生活行為と、それを行うのに必要な心身の活動が含まれる。また、
 個別的な目的や価値が含まれるもの」とされ、かつて作業療法は細かい作業に着目され
 ていましたが、本来の作業は生活全体を見るものであり、「対象者の自己に対する理解
 と人生に関わる新たな自分を再構築する」もの。研究計画では、作業にはSOCに通じる
 点がある点に着目していました。
・日常生活の様々な作業(旅行、釣り、水泳、テニス、入浴、移乗等)が描かれた95枚の
 イラストから、諦めていた生き方を再確認しゴールに設定する(意思決定)ツール
 として、ADOCが紹介されました。作業療法は、一つ一つの機能をただ取り戻す作業
 には限定されず、新たな人生を見出し再構築する、健康生成論の観点が多く含まれて
 いることがポイントになっていました。
・今回のディスカッションでは、研究計画において明確にすべき点が明らかになっただけ
 でなく、様々な研究の方向性が考えられること、方向性に対してどの様にアプローチを
 したらよいのか等、幅広い内容について意見交換が行われました。研究が形になってい
 く過程を垣間見ることができ、大変勉強になりました。

さて次回も、今回ご参加いただいた方にご発表いただきます。
日程:2019年2月4日(月)18:30~20:30
場所:聖路加国際大学 本館506教室
プレゼンター:石井恵美子さん(順天堂大学大学院医療看護研究科博士前期課程)
タイトル:
「異文化を内在化する中国帰国者と中国人配偶者のSOCとその関連要因を明らかにする」

新年最初のPPの会になりますので、皆さまぜひご参加ください!

文責:萩原加奈子



2018年11月12日月曜日

11/1 PPの会の開催報告

11月1日(木)に行われたPP会の開催報告です。
参加者は10名でした。

2018年11月1日(木) 18:30~20:30
テーマ:「『困難を乗り越える力』を持った看護職になる」
    (日本看護協会機関誌10月号の特集)
担当:1.戸ヶ里泰典先生(放送大学)
     「困難に向き合い対処する力」を知る
     「SOC」「レジリエンス」「楽観性」「制御感」「ハーディネス」
   2.中山和弘先生(聖路加国際大学)
     健康資源の気づき方、見つけ方、生かし方
     ”つながり”の持つ効果

・戸ヶ里先生からは、困難に向き合い対処する力として、
 SOC、レジリエンス、楽観性、制御性、ハーディネスを説明いただき、
 それらの共通点、および高め方についてお話しいただきました。
・SOCの3要素の考え方をどのように捉えていくか、という点については、
 関連し合い、相関は高いが、それぞれが独立したものではなく、
 3要素違うように機能するものであり、また、一つの人生経験に対する異なる
 切り口・見方であるというお話がありました。
・また、SOCの共通点については、ラザルスのストレス対処評価モデルと対比した
 ディスカッションが行われました。
・具体的なレベルで、これらの対処する力の理解を深め、
 個々の資源とリンクさせながら、自分に合った対処法を見出していくことが
 大切になりそうです。
・次に、中山先生からは、健康資源の気づき方、見つけ方、生かし方として、
 内外の資源へ気づくこと、ソーシャルメディアの活用、対話の場の活用について
 お話しいただきました。
・欧米の看護協会では、ソーシャルメディアの利用方法について注意点が
 発信されるほど、SNSを情報源としてだけでなく、学習の場として、
 活用されています。
 新聞やテレビの情報は、伝え手の考え方で決められた一方向の情報であり、
 必ずしも正しい情報とは限りません。
 自分自身が、そして患者さん自身が利用しやすいメディアを見出し、
 活用していくことが大切になりそうです。

さて、次回は、今回初参加してくださった方にご発表いただきます。
日程:2018年12月10日(月)18:30~20:30
場所:聖路加国際大学 本館506教室
プレゼンター:三村啓人さん(作業療法士 筑波大学大学院)
タイトル:「脳卒中者のSOCとリハビリテーション意欲に関する研究(仮)」

今年最後のPPの会になりますので、皆さま是非ご参加ください!



文責:萩原加奈子