2019年5月2日木曜日

4/9 PPの会の開催報告

4月9日(火)に行われたPPの会の開催報告です。
(ご報告が大変遅くなり、申し訳ございません。)
参加者は6名でした。

2019年4月9日(火) 18:30~20:30
テーマ:頸髄損傷者にソーシャルメディアが及ぼす心理社会的効果(影響)
    -リハビリテーション施設利用者の退所後の生活からー
担当:佐久間桃子さん(筑波大学大学院リハビリテーションコース 博士前期課程)

・今回のPPの会では、佐久間さんの修士論文の研究計画「頸髄損傷者にソーシャル
 メディアが及ぼす心理社会的効果(影響)-リハビリテーション施設利用者の退所後の
 生活からー」についてディスカッションを行いました。
・佐久間さんから、頸髄損傷者が受傷し施設退所後、どのような思いを抱いて地域で
 生活しているのか、そして支援の一つとしてピアサポートが挙げられているが、
 どのような課題を抱え、なぜソーシャルメディアに着目したのか、本研究で
 明らかにしたいことについてお話いただきました。
・ソーシャルメディアと一言で言っても、人によって活用方法と内容が幅広いことが
 指摘されました。また、過去10年の間においても、急速にメディアが変化しており、
 時代の流れと合わせて検討する必要性がありそうです。
・ディスカッションの中で、今回の研究で明らかにしたいことが明確になるにつれ、
 研究方法についても、インタビューに限らず様々な方法があることが挙げられました。
 また、ソーシャルメディアの機能については既にレビューが行われている一方で、
 本研究では、どこに新規性を置いているのか、という点についても意見交換が
 行われました。

次回の予定は下記の通りとなっております。
日程:2019年6月5日(水)(10日から変更になりました) 18:30~20:30
担当:戸ヶ里泰典先生(放送大学)
テーマ:文献紹介
  Ryff CD. Psychological Well-Being Revisited: Advances in the Science and Practice 
  of Eudaimonia. Psychother Psychosom 2014;83:10–28.
皆様のご参加をお待ちしております。




 

2019年3月6日水曜日

2/4 PPの会の開催報告

2月4日(月)に行われたPPの会の開催報告です。
参加者は7名でした。

2019年2月4日(月) 18:30~20:30
テーマ:「中国文化を内在化しつつ日本に永住帰国した中国残留日本人孤児の
     Sense of Coherence(SOC)とその関連要員を明らかにする」
担当:石井恵美子(順天堂大学大学院 医療看護学研究科 M1)

・今回のPP会では、石井さんの修士論文の研究計画「中国文化を内在化しつつ日本に永住
 帰国した中国残留日本人孤児のSense of Coherence(SOC)とその関連要員を明らかにす
 る」についてディスカッションを行いました。
・石井さんから、中国残留日本人孤児を対象とした理由、SOCに着目した理由をお話しい
 ただき、中国で残留することになってからどのようなネットワークの中で、人生経験を
 経て過ごし、その経験のうち何がSOCへ影響したのか明らかにする、研究仮説について
 お話いただきました。
・対象の方々は中国文化を内在化しつつ、日本に永住帰国した中国残留日本人孤児で、
 様々な経験を経て、葛藤を抱きながらも日本で生活しており、現在抱える健康課題に対
 しても、今後その背景に合わせた支援が求められる方たちです。対象者がどのような資
 源を動員しているのか、対象者に合わせた看護ケアを行うためにも、大切な研究となり
 そうです。
・ディスカッションでは、仮説の整理が行われ、何を今回の研究で明らかにしようとして
 いるのか、問題の明確化が行われました。また、サンプルサイズの決め方や、SOCの設
 問の回答の難しさについてどう対処を行ったらよいか等、研究の具体的な内容について
 も意見交換が行われました。

さて次回も、ご参加いただいた方にご発表いただきます。
日程:2019年4月9日(火)18:30~20:30
場所:聖路加国際大学 会場未定(わかり次第MLにてご連絡いたします)
担当:佐久間桃子さん(筑波大学大学院リハビリテーションコース 博士後期課程)
タイトル:「頸髄損傷者にソーシャルメディアが及ぼす心理社会的影響」

季節の変わり目ですが、皆様ぜひご参加ください!

文責:萩原加奈子

 

2018年12月28日金曜日

12/10 PPの会の開催報告

12月10日(月)に行われたPP会の開催報告です。
参加者は9名でした。

2018年12月10日(月) 18:30~20:30
テーマ:「地域在住脳卒中患者の作業へ対するSOCの機能とその生成過程のプロセス」
担当:三村啓人(筑波大学大学院博士前期課程 作業療法士)

・今回のPP会では、三村さんの修士論文の研究計画「地域在住脳卒中患者の作業へ対する
 SOCの機能とその生成過程のプロセス」についてディスカッションを行いました。
・作業療法における作業とは、「日常生活活動、家事、仕事、趣味、遊び、対人交流、
 休憩など、人が営む生活行為と、それを行うのに必要な心身の活動が含まれる。また、
 個別的な目的や価値が含まれるもの」とされ、かつて作業療法は細かい作業に着目され
 ていましたが、本来の作業は生活全体を見るものであり、「対象者の自己に対する理解
 と人生に関わる新たな自分を再構築する」もの。研究計画では、作業にはSOCに通じる
 点がある点に着目していました。
・日常生活の様々な作業(旅行、釣り、水泳、テニス、入浴、移乗等)が描かれた95枚の
 イラストから、諦めていた生き方を再確認しゴールに設定する(意思決定)ツール
 として、ADOCが紹介されました。作業療法は、一つ一つの機能をただ取り戻す作業
 には限定されず、新たな人生を見出し再構築する、健康生成論の観点が多く含まれて
 いることがポイントになっていました。
・今回のディスカッションでは、研究計画において明確にすべき点が明らかになっただけ
 でなく、様々な研究の方向性が考えられること、方向性に対してどの様にアプローチを
 したらよいのか等、幅広い内容について意見交換が行われました。研究が形になってい
 く過程を垣間見ることができ、大変勉強になりました。

さて次回も、今回ご参加いただいた方にご発表いただきます。
日程:2019年2月4日(月)18:30~20:30
場所:聖路加国際大学 本館506教室
プレゼンター:石井恵美子さん(順天堂大学大学院医療看護研究科博士前期課程)
タイトル:
「異文化を内在化する中国帰国者と中国人配偶者のSOCとその関連要因を明らかにする」

新年最初のPPの会になりますので、皆さまぜひご参加ください!

文責:萩原加奈子



2018年11月12日月曜日

11/1 PPの会の開催報告

11月1日(木)に行われたPP会の開催報告です。
参加者は10名でした。

2018年11月1日(木) 18:30~20:30
テーマ:「『困難を乗り越える力』を持った看護職になる」
    (日本看護協会機関誌10月号の特集)
担当:1.戸ヶ里泰典先生(放送大学)
     「困難に向き合い対処する力」を知る
     「SOC」「レジリエンス」「楽観性」「制御感」「ハーディネス」
   2.中山和弘先生(聖路加国際大学)
     健康資源の気づき方、見つけ方、生かし方
     ”つながり”の持つ効果

・戸ヶ里先生からは、困難に向き合い対処する力として、
 SOC、レジリエンス、楽観性、制御性、ハーディネスを説明いただき、
 それらの共通点、および高め方についてお話しいただきました。
・SOCの3要素の考え方をどのように捉えていくか、という点については、
 関連し合い、相関は高いが、それぞれが独立したものではなく、
 3要素違うように機能するものであり、また、一つの人生経験に対する異なる
 切り口・見方であるというお話がありました。
・また、SOCの共通点については、ラザルスのストレス対処評価モデルと対比した
 ディスカッションが行われました。
・具体的なレベルで、これらの対処する力の理解を深め、
 個々の資源とリンクさせながら、自分に合った対処法を見出していくことが
 大切になりそうです。
・次に、中山先生からは、健康資源の気づき方、見つけ方、生かし方として、
 内外の資源へ気づくこと、ソーシャルメディアの活用、対話の場の活用について
 お話しいただきました。
・欧米の看護協会では、ソーシャルメディアの利用方法について注意点が
 発信されるほど、SNSを情報源としてだけでなく、学習の場として、
 活用されています。
 新聞やテレビの情報は、伝え手の考え方で決められた一方向の情報であり、
 必ずしも正しい情報とは限りません。
 自分自身が、そして患者さん自身が利用しやすいメディアを見出し、
 活用していくことが大切になりそうです。

さて、次回は、今回初参加してくださった方にご発表いただきます。
日程:2018年12月10日(月)18:30~20:30
場所:聖路加国際大学 本館506教室
プレゼンター:三村啓人さん(作業療法士 筑波大学大学院)
タイトル:「脳卒中者のSOCとリハビリテーション意欲に関する研究(仮)」

今年最後のPPの会になりますので、皆さま是非ご参加ください!



文責:萩原加奈子



2018年7月11日水曜日

7/4 PPの会の開催報告

7月4日に行われたPP会の開催報告です。
参加者は4名でした。
2018年7月4日(水)18:30~20:30
プレゼンター:萩原加奈子(聖路加国際大学大学院)
テーマ:Helena L, Anna-Maija P, Soili HH, and Mari kangasniemi.
              A systematic review of adolescents' sense of coherence and health, 
              Scandinavian Journal of Caring Sciences. 2017. 31(4). 651-661

・本文献は、思春期のSense of Coherenceと健康の関連について、
 23文献をシステマティックレビューしていました。
・SOCの測定には、13項目版が最も多く使われていましたが、その他、
 29項目版、9項目版が使われていました。
・SOCと関連する健康としては、生活満足度などを含むQOL、
 身体的活動、飲酒、喫煙などの健康行動、抑うつ状態や不安状態等の
 メンタルヘルス、親のSOCや親のサポートなどの家族関係についてが
 挙げられていました。
・多くの研究が横断研究だったため、今後はSOCと健康・健康行動の関連について、
 縦断研究が求められると述べられていました。
・ディスカッションでは、青少年は大人と異なり、どのように健康を捉えているのか、
 それによりSOCと関連する「健康」が異なるのではないかという話題が出ました。
 症状に対する知識がないと、その症状が表現している状態がわからないため、
 的確に「健康」という状態を表現できない可能性があるためです。
 思春期の頃、皆さんは健康をどのように捉えていましたか?

さて、次回は9月頃を予定していますが、次回のプレゼンターを募集します!!
皆様、どうぞご検討いただければと思います。

 
 

2018年4月20日金曜日

3/30 PP会の開催報告

ご報告が遅くなってしまいましたが、
3月30日に行われたPP会の開催報告です。
参加者は5名でした。

2018年3月30日(金)18:30~20:30
プレゼンター:戸ヶ里泰典先生(放送大学)
テーマ:「ウェルビーイングの設計論」(https://goo.gl/KL5REg)
    第10章 思いやりと利他行動

・思いやりcompassion
 ジェニファー・ゴエツらの定義
 「他者の来る霜を目の当たりにした際に生じる感情で、
  助けたいという欲求を引き起こすもの」
 愛情とは違い「苦しみを目の当たりにした結果生じるもの」
 共感とは違い「目の前の相手の状態がミラーリングされて生じる感情ではない」
・思いやりと利他性の研究
 思いやりは共感と利他行動の媒介変数(p.300 図10-1引用)
  
・利他性とウェルビーイング
 他者のためにかける金額と個人的well-beingとの間に
 収入、文化にかかわらず強い相関がある
 (136か国の研究で、慈善団体への寄付が家計所得が倍になるのと同じくらい
  幸福感を高める効果をもっていた)
・思いやりは手段なのか?目的なのか?
 本来は思いやりを受けた人がHappyになるもの…
・思いやりをはぐくむ介入策は瞑想がメイン
・進化的感情評価に関する理論によると、思いやりが生じる可能性が高まるのは、
 以下の条件:関連性/類似性、目標の一致/公平さ、対処できるという自信/能力
・他の人の思いやりを目の当たりにすること、自分自身の行動を省みるための
 手助けをすることは、思いやりや利他性をはぐくむ効果的方法
・Self-Compassion
 感情疲労の仕事をしている人(看護師、警察官等)への教育場面で活用されている
 マインドフルネスなど仏教の考えに基づく

次回は、6月下旬頃を予定しています。
詳細が決まりましたら、こちらにアップします。
 


2018年2月6日火曜日

1/29 PP会の開催報告

1月のPP会の開催報告です。
今年最初のPP会で、参加者は5名でした。

2018年1月29日(月)18:30~20:30
プレゼンター:谷木龍男先生(清和大学)
テーマ:「ウェルビーイングの設計論」(https://goo.gl/KL5REg)
    第11章 警告、考慮すべきこと、そしてその先にあるもの
    (予定を変更して行いました) 

・人間は、複雑で変わりやすく、多種多様。設計者や開発者が一般化し、
 モデルを作ろうとしても、結果害を生むことがある。
・テクノロジーが、私たちの個人的な通信を合法的に商業目的で利用しており、
 フリーサービスは、「無料」であって「自由」ではない。
・テクノロジーによる介助は、私たちの自律性をサポートすることと、
 弱らせることの両方ができる。
・自動化することによる社会的影響や経済的影響について考慮し、
 ポジティブな効果を無効化しないよう注意が必要。
 ウェルビーイングの生態系への影響も考慮する必要があり、
 全体論的視野を取り入れる。
・自律性。テクノロジーによって探す手間は省けたとしても、
 探し判断する能力、自分の生活の意思決定力は必要。

次回は、今回実施できなかった章を予定しています。
日程:2018年3月30日(金)18:30~20:30
担当:戸ヶ里泰典先生(放送大学)
テーマ:「ウェルビーイングの設計論」(https://goo.gl/KL5REg)
    第10章 思いやりと利他行動