2017年11月27日月曜日

11/20 PP会の開催報告

11月のPP会の開催報告です。
今年最後のPP会で、8名の参加でした。

2017年11月20日(月)18:30~20:30
プレゼンター:谷木龍男先生(清和大学)(第8章)
       戸ヶ里泰典先生(放送大学)(第9章)
テーマ:「ウェルビーイングの設計論」(https://goo.gl/KL5REg)
    第8章 マインドフルネス
    第9章 共感
    
・マインドフルネスは、注意(Attention)と気づき(Awareness)
 注意:自分の内と外で生じる経験に対する観察の範囲を絞り込んでいくこと
 気づき:自分の内と外で起こることを観察すること
・メディアマルチタスク状態は、マインドフルネスの状態を低下させ、
 その結果としてウェルビーイングを低下させる。マルチタスクは生産性を下げる。
・共感とは、"他人の感じているものをあたかも自分のことのように感じることで
 他人の体験を理解する"
 定義は多種多様。認知的要素と情動的要素をもつ。
・喜びの共感:西洋文化圏では全く議論されていない共感の一側面。
 他人の幸福を喜ぶに相当する言葉・言語はないが、そうした経験はある。
 一方、ドイツ語schadenfreude(他人の不幸を喜ぶ)という言葉は存在する。
 また、喜びの共感は社会的ウェルビーイングを高めるための理想的心的状態。
などなど、盛りだくさんの内容でした。

マインドフルネスを育むための方法として、
谷木先生より「レーズンエクササイズ」が紹介されました。
一粒のレーズンを、目で見て、匂いをかいで、手で触って、
口で転がして、味を確かめ、飲み込んで、
胃に落ちるまでの感覚に集中する。
マインドフルネス・ストレス低減法の一つで、
一瞬一瞬に意識的に注意を向ける態度を身につけるものだそうです。

次回も引き続き、今回ご紹介いただいた本の続きを予定しています。
日程:2018/1/29(月) 18:30~20:30
担当:戸ヶ里泰典先生(放送大学)(第10章)
   谷木龍男先生(清和大学)(第11章)
内容:「ウェルビーイングの設計論」(https://goo.gl/KL5REg)
   第10章 思いやりと利他行動
   第11章 警告、考慮すべきこと、そしてその先にあるもの

2017年9月14日木曜日

9/4 PP会の開催報告

9月のPP会の開催報告です。
4名の参加でした。

2017年9月4日(月)18:30~20:30
担 当:谷木龍男先生(清和大学)
テーマ:「ウェルビーイングの設計論」
    第5章 ポジティブ感情
    第6章 動機づけ、没頭、フロー
    第7章 自己への気づきと自己への慈しみ
    (https://goo.gl/KL5REg)
内 容:
・第5章以降は、ウェルビーイングの構成概念について書かれており、
 それぞれを向上させるゲーム(アプリ)が紹介されていました。
・「ポジティブ感情は心理的フローリシングの5本柱の1つ。適切な範囲での
 ポジティブ感情の経験が、心理的グローリシングへの上昇スパイラルを引き起こす」
 SuperBetter(自分の人生そのものを、ゲームにしてしまうアプリ)
・「ゲームがストレスと不安とうつのレベルを低下させ、ポジティブ感情を
 生じさせるのに有効。」「ソーシャルネットワークはポジティブにもネガティブにも
 ウェルビーイングに影響を与える。」
・「目標設定はマインドフルネス(未来への計画を手放し、判断を避けつつ、
 『今、ここにある状態で十分である』という気づきを得るための方法)と
 正反対の行為。」
・ポジティブな変化を促す選択肢設計者としてのデザイナー:
 ナッジ理論、リバタリアン・パターナリズム
 「選択肢を取り除くことなく、健全な意思決定を支持しながら、政策や情報などを
 デザインする」
・「ゲームは、没頭させる力を持つ。内容だけでなく、どのようにゲームが体験され、
 誰と一緒に行うか、社会的文脈やゲームの構造が決定的な要因となる。」
・「自省(self-examination)、内観(introspection)、自己への気づき(self-awareness)」
 メンタルヘルス治療法としての内省。
 MoodGym、Beating the Blues、Drinking Coach、Panic Attacksなど。
・「適切な種類や適切な量の内省。」
 「自己への慈しみ、感謝が過剰な内省に対する解毒剤となる。」
・ソーシャル・メディア デジタルな自己演出(Selfing)につながる
 自己主義の拡大:自己の尊重や主体性、自己主張、外向性

次回は、今回ご紹介いただいた本の続きを予定しています。
日 程:2017年11月20日(月)18:30~20:30
場 所:聖路加国際大学 506教室
テーマ:「ウェルビーイングの設計論」
    第8章 マインドフルネス
    第9章 共感
担 当:谷木龍男先生(聖和大学) [第8章]
    戸ヶ里泰典先生(放送大学) [第9章]

2017年7月18日火曜日

6/26 PPの会の開催報告

6月のPP会の開催報告です。
5名の参加でした。

2017年6月26日(月)18:30~20:30
プレゼンター:谷木龍男先生(清和大学)
テーマ:「ウェルビーイングの設計論」全二部の内、第一部の紹介
    (https://goo.gl/KL5REg)
    (第一部が歴史・理論、第二部が各論となっています)

・第一部は、ポジティブ・コンピューティングの概論について書かれていました。
 テクノロジーとウェルビーイングをどのように掛け合わせることができるのか、
 ウェルビーイングの心理学の基盤からポジティブ・コンピューティングの手法
 まで書かれていました。
・ウェルビーイングと直接的な関係にあるとされる心理的な構成概念として、
 有能感、情緒的安定、没頭、意義、楽観性、ポジティブ感情、良好な人間関係、
 心理的回復力、自尊心、活力が挙げられていました。
 (各構成要素については、第二部にて紹介予定)
・ポジティブ・コンピューティングとは「テクノロジーを用いて、個人の経験を
 構造化し、拡大し、差し替えることで、その経験の質を改善する科学的・応用的
 アプローチ」のこと。
・たとえば、モバイルヘルス機器を用いて、個々人の行動・睡眠・食習慣などを
 定量化する(quantified self)ことで、従来の画一的なメッセージから、
 一人一人にあった多様なメッセージが発信されるようになった、など。

全てがデータ化されることで、自分自身のことや生活を理解することができ、
それはまるでテクノロジーに支配されている様ですが、
最終的に決定するのは「自分」であることに変わりはない、
など色々なディスカッションが行われました。

次回以降は、今回ご紹介いただいた本の続きを予定しています。
日程:2017/9/4(月) 18:30~20:30
担当:谷木龍男先生(清和大学)
内容:「ウェルビーイングの設計論」(https://goo.gl/KL5REg)
   第5・6・7章

日程:未定
担当:戸ケ里泰典先生(放送大学)
内容:「ウェルビーイングの設計論」(https://goo.gl/KL5REg)
   第8・9・10・11章


2017年5月6日土曜日

4/17 PPの会の開催報告

遅くなってしまいましたが、4月のPPの会の開催報告です。
5名の参加でした。

2017417()18302030
プレゼンター:米倉佑貴先生(聖路加国際大学)
テーマ:Linda Bolier, Merel Haverman, Gerben J Westerhof, Heleen Riper, 
    Filip Smit and Ernst Bohlmeijer. Positive psychology 
    interventions: a meta-analysis of randomized controlled studies. 
    (2013). Public Health. 13(119). 文献紹介
ポジティブ心理学の介入研究のメタ分析を行った論文を読みました。

文献の概要は、
・全対象者数は、N=6139(介入群:N=4043,対照群:N=2096)
 大学生を対象とした介入が多く(17)、高齢者を対象としたものは2件。
・介入期間は1日〜10週間を超えるものもあった。
・アウトカムは、SWB(Subjective Well-being)を測定したものが28件、
 PWB(Psychological Well-being)を測定したものが20件、抑うつを測定した
 ものが14だった。
・ポジティブ心理学の介入はSWBPWBの向上,抑うつ症状の抑制に効果がある
 と考えられた。

ディスカッションでは、
全体として効果があるのがわかったけれど,個々のプログラムが応用している
理論ごとの効果の違いについてもわかるとよかったという議論をしました。

次回は、以下を予定しています。
日程:2017/06/26 (月) 18:30~20:30
担当:谷木龍男先生 (清和大学)
テーマは以下のどちらかを予定しています。
 ・フローのネガティブな側面
 ・「ウェルビーイングの設計論」の紹介(https://goo.gl/KL5REg)



2017年2月14日火曜日

2/13 PPの会の開催報告

今年最初のPPの会の開催報告をさせていただきます。
7名の参加がありました。

2017年2月13日(月)18:30~20:30
プレゼンター:米倉佑貴先生(聖路加国際大学)

テーマ:『ポジティブ心理学が1冊でわかる本』のご紹介 前回の続き
     (イローナ・ボニウェル著、成瀬まゆみ監訳)

著書の後半は、
・心的外傷後成長(PTG)とポジティブ・エイジング
・選択肢の多い時代を生き抜く
・強みを活かす
・愛
・ポジティブ心理学を暮らしに活かすには(介入方法の紹介)
・セラピー・教育・ビジネスでの応用
・ポジティブ心理学の未来
といった内容でした。
著書において、ポジティブ心理学の問題点として、歴史的ルーツの認識不足や、
統一的な理論がないことなどが挙げられていました。

今回の発表の中で、ポジティブ心理学における介入研究が、
保健医療場面においても行われていることが話題となり、
次回は、以下の文献を読む予定でいます。
文献:Linda Bolier, Merel Haverman, Gerben J Westerhof, Heleen Riper, Filip Smit and Ernst Bohlmeijer. Positive psychology interventions: a meta-analysis of randomized controlled studies. (2013). Public Health. 13(119).
 
次回は、2017年4月17日(月)18:30~開催予定です。
発表者は、今回に引き続き、米倉先生です。


文責:萩原加奈子